「太陽光適格事業者」ってなに?
最近「太陽光適格事業者」とはどういうことですか?というご質問を時々いただくので、今号
では「長期安定適格太陽光発電事業者(仮称)」について簡単にお伝えします。
「適格事業者」というのは太陽光発電設備を適切に運営している個別の事業者を認定するものではありません。
経済産業省は10月22日に有識者会議(再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会)を開催し、分散する太陽光発電所の集約化を担う発電事業者を「適格事業者」として認定する制度の概要について事務局(経産省)案を公表しました。
講座などでもお伝えしている通り、日本の太陽光発電設備は低圧(10~50kW未満)設備の比率が他外国と比較しても非常に高く、その57%が個人事業者です。従って事業規模がかなり小振りで、しかも全国的な範囲に点在している点が特徴的です。
現在、こうした小規模の発電事業を行っている発電事業者は事業継承や相続などの問題、また、買取期間の終了に伴って運用管理を効率化できず、発電事業を継続断念する可能性があることが懸念されています。
そのような事態になると、国民負担による支援を受けて導入された事業用太陽光設備が急減することもあり得るので、エリアごとに優良な事業者が小規模太陽光を集約して所有・管理することで効率的な運営を行う事業者と認定し、その事業者が分散する小規模な発電事業を長期に安定電源化していく制度(長期安定適格太陽光発電事業者)を導入しようというものです。
将来的には数十者(社)の適格事業者を認定していくことを想定している、としていて、その認定要件は次のようになります。
(1)地域の信頼を得られる責任ある主体であること⇒ a.関係法令を遵守すること b.厳格なガバナンス体制等 c.地域との共生や保安の確保に関すする取り組み方針について自社HPに記載すること
(2)長期安定的な事業の実施が見込まれること⇒ a.一定規模以上の太陽光事業を集約し、集約した事業を含めて、長期間にわたって事業を継続すること b.事業継続期間、集約する太陽光発電事業の容量について、中期経営計画等において定量的な目標へのコミットメントを行ない、当該目標とその進捗状況に対する評価を毎年度自社HPで公表・フォローアップすること
(3)FIT・FIPによらない事業実施が可能であること⇒ 競争的な環境の下で実施されている太陽光発電事業の50,000kW以上の実績
以上の要件を満たして認定された場合、(1)FIT・FIP変更認定時の説明会開催の負担軽減 (2)電気主任技術者に関する統括制度の利用拡大 (3)パネル増設時における廃棄費用の一括積み立ての例外を認める (4)事業売却を希望する事業者の情報を先行公開する といった優遇措置があります。
似たようなものとして「太陽光アグリゲーター」という役割(事業)も注目されています。
「太陽光アグリゲーター」は太陽光発電事業者を束ね、需要家と電力会社の間で電力の需給を調整する事業者のことで、まとめる、という意味では同じですが、役割的には「太陽光適格事業者」とは少々違います。
「太陽光アグリゲーター」についてはまた機会を改めて触れたいと思います。